『日本歯技』2021年12月号巻頭言



急速に進むデジタル化と歯科技工

 今年9月1日、デジタル庁が発足した。デジタル庁は、デジタル社会形成の司令塔として、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、「デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成(いっきかせい)に作り上げる」としている。
 歯科技工界も、今後のポストコロナ時代の中で、社会全体が急速にデジタル化に向かっていることと無縁ではいられない。特に、CAD/CAM装置に代表される歯科技工のデジタル化は、補てつ物の委託過程、製作過程、歯科材料の流通過程を多様化させている。
 そうした中、6月に公表された「規制改革実施計画」に、「デジタル化の進展等に対応するための歯科技工業務の見直し」も示された。その一つに「CAD/CAM装置等を用いた自宅等でのリモートワーク」が盛り込まれている。
 従来からの歯科技工士を取り巻く厳しい状況を踏まえ、早期離職を防止するための職場環境や労働環境に関する問題を改善するために、育児・介護など柔軟で多様な働き方を実行する一つの方策として、デジタル技術を活用した歯科技工のリモートワークの活用が考えられる。
 もちろん、現行法おいては、CADシステムを使って模型のスキャンやデザインのみを行う作業も「歯科技工」であり、作業する場所は、構造設備基準を満たし開設届けが出された歯科技工所もしくは歯科医療機関(CAD/CAM冠に関しては、院内で作業に関わる歯科技工士の配置が必要)でなければならない。
 そこで、厚生労働省医政局は「歯科技工士の業務のあり方等に関する検討会」を設置し、「リモートワークを行う場所、リモートワークを行う者、リモートが想定される業務、デジタルデータの情報管理や歯科技工所と歯科医療機関とのデジタルデータの授受方法」等について慎重に検討を進めている。
 歯科技工界におけるデジタル化の進展については、ややもすれば一般社会におけるデジタル化と同一の議論になることがある。しかし、歯科保健医療の安全・安心の確保を考えると、そこには自ずと欠かすことのできない必要な要件があるべきで、歯科技工士はその矜持を持って、これからも科学技術の進歩に目を向けて行かなければならない。

 
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