『日本歯技』2022年3月号巻頭言


『日本歯技』 2022年3月号


大阪万博に見る変革のスピード


 この国が敗戦による壊滅状態から復興を遂げ、高度経済成長の途上にあった1970年、大阪府吹田市の千里丘陵にてアジアで初の万国博覧会が「人類の進歩と調和」をテーマに開催された。
 世界77カ国と多くの企業体等によるパビリオンは未来都市を想わせ、現在では当たり前の携帯電話、パーソナルコンピュータ、テレビ電話、電気が動力の自転車・自動車、自動運転モノレールなどが展示された。どれも夢のようなものばかりであり胸が踊った。
 この大阪万博から半世紀、もはや社会はデジタルによって仕組みが変わろうとしている。私たちが意識しない間に仕事にも生活にも変革が進みつつある。こうした変革のスピードは加速され、5年後には判断能力をもつ「ヒューマノイドロボット(人型ロボット)」が出現するとさえ言われている。この数年の変化は、これまで要した進化の期間がさらに短縮される気配である。
 歯科保健医療の一分野を担う歯科技工界にも科学技術の進歩の波が押し寄せている。歯科技工所運営の効率化や歯科技工士の働き方改革にデジタルは欠かせない存在になりつつある。特に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、あらゆる世代がその必要性を目の当たりにした。様々なデジタル機器については、若い世代よりも年齢を重ねた世代の方が「本来は、こうあるべき」「今までは、こうであった」などと心理的抵抗感によって戸惑いを覚え、変革に背を向けがちだが、科学技術の進歩は止められない。
 一方、科学技術の進歩は人類の幸福を目指したものでなければならない。物事の事象には、常に表裏と功罪が付きものである。だからこそ私たち歯科技工士は、歯科保健医療の充実と発展に資する歯科技工のために、行政、関係団体と協調してより良い変革に備えていかなければならない。
 2025年には、『日本国際博覧会(大阪・関西万博)』で新たな人類の「夢」が示される。歯科技工界では「歯科技工士の明るい未来」に向けて歩みを進めなければならない。

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