『日本歯技』2023年9月号巻頭言
日本歯科技工士会について

税制理解からのインボイス対応
“税制”は古今東西、国家の根幹であり、「租税法律主義」に基づく法令により関係者間で共有させ、協調する運用で成り立っている。近代国家では新たな徴税による社会混乱は避けられず、現代の国家は税の構造を説き、理解とあきらめが浸みるのを待ちながら、実効性ある徴税方法を構築している。
片や納税側には、“脱税”には追徴と一罰百戒が待っていて、同時に合法的な“節税”は常に残る。
総じて税制の妥当な運用は、集める側と支払う側の知識共有と是認で成り立っている。
日本国の消費税は、1979(昭和54)年には成立せず、政府は重ねて税構造を説き、1989(平成元)年から始まった。この税は、販売やサービス提供などの取引に課税される付加価値税であり、各層の消費者が都度、負担し、事業者が預かる。この預かった事業所は“預かり部分から自社の納税額を差し引いた額”を納税する。この仕組みは「仕入れ税額控除制度」と言い、各取引段階で二重三重に税がかからず、税が累積しないことを目指したものであったが、ここには「益税」が潜在した。インボイス(適格請求書)は、この益税を減じ、複数税率への対応を目指している。
公益社団法人日本歯科技工士会(日技)はここ数年、歯科技工所における消費税の基本構造を説いてきた。
①歯科技工所は消費税課税業種、②社会保険歯科診療には消費税財源が加算済み、③歯科技工所には免税、簡易課税、本則課税が混在し、それぞれのインボイス作用は異なる。④歯科技工所は緩和措置の6年間を見込んで対応できる。
そして主要な取引先の知識として、⑤八割強の歯科医療機関は自院の消費税納税額算出に歯科技工所からのインボイスを用いない。⑥残る一割強においても「いわゆる95%ルール」が作動するから、ほとんどの歯科医療機関は歯科技工所からのインボイスは要らない。
日技は数年前から財務省に、(ア)優越的地位の濫用を予防する歯科界指導、(イ)財務省による歯科技工所向け周知記事の提供などを求め、界内周知を重ねている。
消費税開始時の「外税カルテル」は失効しているが、現在でも優越的地位の濫用は違反である。令和5年10月、インボイスは始まる。経営者自身が冷静に判断し対応しよう。
片や納税側には、“脱税”には追徴と一罰百戒が待っていて、同時に合法的な“節税”は常に残る。
総じて税制の妥当な運用は、集める側と支払う側の知識共有と是認で成り立っている。
日本国の消費税は、1979(昭和54)年には成立せず、政府は重ねて税構造を説き、1989(平成元)年から始まった。この税は、販売やサービス提供などの取引に課税される付加価値税であり、各層の消費者が都度、負担し、事業者が預かる。この預かった事業所は“預かり部分から自社の納税額を差し引いた額”を納税する。この仕組みは「仕入れ税額控除制度」と言い、各取引段階で二重三重に税がかからず、税が累積しないことを目指したものであったが、ここには「益税」が潜在した。インボイス(適格請求書)は、この益税を減じ、複数税率への対応を目指している。
公益社団法人日本歯科技工士会(日技)はここ数年、歯科技工所における消費税の基本構造を説いてきた。
①歯科技工所は消費税課税業種、②社会保険歯科診療には消費税財源が加算済み、③歯科技工所には免税、簡易課税、本則課税が混在し、それぞれのインボイス作用は異なる。④歯科技工所は緩和措置の6年間を見込んで対応できる。
そして主要な取引先の知識として、⑤八割強の歯科医療機関は自院の消費税納税額算出に歯科技工所からのインボイスを用いない。⑥残る一割強においても「いわゆる95%ルール」が作動するから、ほとんどの歯科医療機関は歯科技工所からのインボイスは要らない。
日技は数年前から財務省に、(ア)優越的地位の濫用を予防する歯科界指導、(イ)財務省による歯科技工所向け周知記事の提供などを求め、界内周知を重ねている。
消費税開始時の「外税カルテル」は失効しているが、現在でも優越的地位の濫用は違反である。令和5年10月、インボイスは始まる。経営者自身が冷静に判断し対応しよう。