『日本歯技』2023年12月号巻頭言

巻頭言2023年7月号

団体運営における目的達成のための法的要素

 団体がその目的を効率的に達成するためには、権利や義務を定めるなど、一定の規則が必要である。例えば日本の法体系は、憲法を頂点としたピラミッド構造を形成しており、ピラミッドの上位の法律は、下位の法律よりも優先される。つまり、法を定める際は、原則としてそれよりも上位にある法の内容に反しないようにしなければならない。
 さらに法律の目的は、課題が起きた場合にその定めにしたがって解決を図るためである。そして、それらを実現するための法律の機能が、社会統制、活動促進、課題解決、資源配分の4つと言われている。また、現代社会においては、法の目的は人間の幸福を守ることでもあろう。
 公益社団法人である日本歯科技工士会(以下、本会)においても、法的に適切に運営するために必要な規則と方針を定めている。その構造は、運営していくために必要な具体的方針あるいは一定の基準を定めた「定款」を頂点に、定款に定められた事項の運用細則ないし、事務的事項を定める「規約」があり、これらは総会の議決が必要である。一方、本会の事務執行上必要な関係を規律する内規である「規程」や定款・規約・規程などそれぞれに定められた個々の内容を指す「規定」、内部における規定・規則であり、本会の外部には適用されない「内規」などが下位にあり、理事会において設定又は改廃ができる。
 公益をもたらすために、本会が成長し続けるためには、新たなプログラムやプロジェクトを開始し、新しい関係を築くこと、会員や他のステークホルダーのニーズや期待の変化、社会・経済・政治などの外部環境の変化などに対応する必要がある。具体的には組織率改善のための規則、教育研修の質や効率の確保、財産管理や事務局組織、選挙制度など新たな課題や機会に適応させるため、規則を変更し組織の運営を改善することが必要なのである。
 こうして社会の変化に順応する最適化された定款・規約・規程を遵守することにより、社会の公益に向けた活動を行うことが可能となる。

 
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