『日本歯技』2024年2月号巻頭言




10年来の成果 ー歯科技工所の全国管理ー


 令和5(2023)年12月11日、厚生労働省医政局より医政歯発1211第1号(※)が通知された。その表題は、「歯科技工士法第21条第1項の規定に基づく開設届出のなされた歯科技工所の一覧のホームページ等への掲載について」である。
 通知の差出人は厚生労働省医政局歯科保健課長であり、宛先は都道府県知事、保健所設置市長、特別区長である。この通知は、「全国の歯科技工所に一定要件を満たした番号を付与しましょう」という趣旨を持っている。
 日本歯科技工士会は地域組織(都道府県歯科技工士会)協力のもと各保健所が管理する歯科技工所一覧の収集に努め、「全国歯科技工所開設届け出調査一覧」として第9版まで発行している。その背景は、「保健所ごとに異なる管理方法では全国的な健康保険の利便性が損なわれる」「各保健所が異なる届出形式や管理手法を採用していると国全体の法令が機能しにくくなる」といった弊害を「一元的な情報把握」により是正する必要性を謳うことであった。
 この視点において、厚生労働省も歯科技工所の構造設備基準の省令化などで対応してきた。しかし、歯科技工所の管理は平成8年の地方分権改革により主管が地方自治体へ移行し、国が直接主導し関与することが難しくなった。この苦労が通知文中の「貴管下の歯科医療機関等が無届の歯科技工所と補てつ物等の作成等について取引を行うことがないよう、注意喚起をお願いいたします」の表現にも現れている。
 地域組織が協力して行ってきた「都道府県への名簿提出要請活動」は、この問題を論拠として実証・明示する一環であった。今回の通知は、これら地域組織の活動を基にして日本歯科技工士会が国に対して改善策を求め、日本歯科技工士連盟がこれを後押しし、この度の通知発出に至った。
 次なる段階は、社会的な施策が「就業歯科技工士個々」、そして「施設」と「施設管理者」の三者を適切に把握し、妥当な構成を築くことである。具体的には、ヒトと施設それぞれに対する適切な施策を整備し、指示と責任の体系を整えていくことが求められる。
 このように、一歩ずつ、歯科技工の提供体制を是正して行こう。


歯科技工士法第21条第1項の規定に基づく開設届出のなされた歯科技工所の一覧のホームページ等への掲載について(R51211/厚生労働省医政局歯科保健課長通知)
 

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