『日本歯技』2024年4月号巻頭言

『日本歯技』2024年4月号 巻頭言

令和6年度診療報酬改定:歯科技工士への期待と課題

 昨年12月20日の予算大臣折衝を踏まえ中医協は、医療費の伸び、物価・賃金の動向、医療機関等の収支や経営状況、保険料などの国民負担、保険財源や国の財源に係る状況を考慮して、令和6年度診療報酬・薬価等改定を行った。本体部分である診療報酬は0.88%のプラス改定とされ、そのうち歯科に対しては0.57%のプラス改定となった。特筆すべきは、そのうち『歯科技工所で働く者などの賃上げに資する措置分(+0.28%程度)を含む』ことが診療報酬改定で明記された点にある。
 また、具体的な内容として「医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組」の中で「医療機関の職員や歯科技工所で従事する者の賃上げを実施すること等の観点から、初再診料や歯冠修復及び欠損補綴の製作に係る項目について評価を見直す」と基本的な考えを示して個別項目の評価を引き上げたことは、我々歯科技工士にとっても朗報である。
 さらに、歯科診療所における歯科技工士との連携に対する加点も適用が拡大され、今後我々歯科技工士が診療室においてその技能を発揮し、歯科医療機関はもちろん患者からも認知が広がり信頼されることが期待される。このように歯科技工士の評価が見直される中で、我々は自身が行っている行為が診療報酬の仕組みの中でどのように運用されているか理解することが必要であろう。
 詳細については、令和6年度診療報酬改定に関する講習会を各ブロックや地域組織において順次開催する中で説明していく予定である。会員はもちろん会員外の歯科技工所経営者や勤務者など多くの歯科技工士にも参加いただき、改定内容を理解していただきたい。
 そのうえで、今回の改定に呼応し、適正な歯科技工料金の改定を行わなければ、今後の診療報酬改定における「歯冠修復及び欠損補綴」の評価引き上げは難しくなることから、歯科技工界全体の改善も遠のくことを理解し、特に歯科技工所経営者の方には料金改定へ向けた検討をお願いしたい。

 

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