歯科技工士の皆さまへ

歯科技工士に求められていること
― 新型コロナウイルス感染症拡大防止について ―

 
公益社団法人日本歯科技工士会
会長 杉 岡 範 明
 

 昨年来の未知のコロナウイルス感染症が、予測を遥かに超えて拡大しています。
 今、誰もが、これまで経験したことのない日々を過ごしています。こうした状況だからこそ、私たち歯科技工士は歯科保健医療を支える歯科専門職の一員としてどうあるべきか、一人ひとりが歯科技工士としての矜持を持って、しっかりと考えて行動しなければなりません。
 
〇未知のことには不安がある
 「まだ知らないこと」「まだ知られていないこと」には誰もが不安を抱くものです。しかし、その不安も根拠のない恐れや、それを助長する妄想であってはなりません。私たちは常に、論理的な考え方と専門家の情報に耳を傾け、バランスの取れた思考を身に着けて行動すべきです。
 そもそも、人類の歴史はウイルスなどによる感染症との戦いの歴史でもあると言われています。毎年流行るインフルエンザや記憶に新しいエボラ出血熱もそうです。まさに、これらに備える知恵があるから、人類は今に繋がっているのです。
 
科学的根拠に基づき備えることの大切さ
 しかし、それでも今回の新型コロナウイルスについては、未だ、多くの人は免疫を獲得していませんし、ワクチンや治療薬もできていません。国際感染症センター長の大曲貴夫先生は「8割の人は軽い。2割の人は入院。5%は集中治療室必須。話せていた人が数時間で悪化する。やっぱりかかっちゃいけない。僕は強くそう思う」とコメントしています。
 このことからも、私たちはしっかりと備えることが重要です。
 
〇歯科技工士としてやらなければならないこと
 私たちは2002(平成14)年度から「感染症予防歯科技工士講習会」を実施し、2011(平成23)年度までに全47都道府県での開催を終え、現在は二巡目に入り、2019(令和元)年度末で累計80回を数えています。
 歯科技工の現場ではウイルスなどに歯科技工士が感染する可能性もあれば、歯科技工士が感染を広める可能性もあります。今こそ、私たちはこの講習会で学んだことを活かし、歯科保健医療の現場が機能不全を起こすことのないように、患者を想い、責任と使命を果たさなければなりません。
 
 改めて、今を生きる私たちは、これまでの先人の先見性とたゆまぬ努力に感謝し、力を合わせてこの困難を乗り越えようではありませんか。

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