『日本歯技』2025年6月号巻頭言

『日本歯技』2025年6月号 巻頭言

認定歯科技工所(仮称)による業界の進化

 令和7年度の国家予算は、2025年3月31日に行われた参議院本会議で可決され、歯科技工士に関する予算もこれまで通り承認された。この中で新たに「歯科技工所業務形態改善等調査検証事業」が拡充され、「構造設備基準等を満たしたうえで、トレーサビリティや就労環境等において一定の要件を満たす優良な歯科技工所として認定するための認定基準、認定方法等の検討」が追加された。この事業により、歯科技工所の業務改善や労働環境の向上が進み、歯科技工士が働きやすい環境の整備が促進されることが期待されている。
 今年度は、歯科技工所の構造設備基準や業務改善に関する認定基準の検討が行われ、業務の効率化や生産性向上、トレーサビリティの確保、さらに労働環境改善に向けた取り組みが評価の対象となる。具体的な認定作業は次年度以降に実施され、認定を受けた歯科技工所は優良な歯科技工所として認定される。
 また、国の委託事業として行われてきた「歯科補てつ物製作過程等の情報提供推進事業」は、今年度で全国一巡を迎える。これを受けて、今後は「歯科技工所管理者講習会(仮称)」に格上げされ、認定歯科技工所の認定要件に加えられることも検討されている。実施されれば、歯科技工所管理者の位置付けが明確となり、歯科技工所のガバナンスや業務の質が向上することが期待される。
 認定を受けた歯科技工所には、労働環境の改善、適切な労務管理の実施、トレーサビリティの確保といった要件が求められる。これにより、歯科技工所は社会的信頼を得ることができ、業界全体の技術水準や労働環境の向上が期待される。さらに、認定を受けた歯科技工所は、さまざまなメリットを享受し、業界内での差別化を図ることが可能となる。
 今後、厚生労働省によるこの歯科技工所業務形態改善等調査検証事業を通じて、業界全体の社会的地位の向上や労働環境の改善が進み、歯科技工所の認定が促進されることで、歯科技工士の働く環境が改善されることが期待される。
 

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